ネットに蔓延するドグマ

リンク先は、海外の記事の一部を翻訳された記事です。

このような、”ベジタリアンをやめて健康を取り戻しました!”的な

個人の意見、体験談は非常に多いですね。

この記事を見て、ああまたか^^:と思いました。



栄養を理解する努力を続け、

計画的にヴィーガンな食生活を続けている者がこのリンク先の記事を読めば

ここに書かれている事の問題点がよく見えます。


まず、

ヴィーガンを目指しておられる方に最初に伝えたい事、

ネットに蔓延するドグマに振り回されないでください。


この当事者のかつてのライフスタイルである西洋的ベジタリアンな食生活と

ヴィーガン(完全に植物ベース)の食生活は

一見すると似ていても、本質の全く異なるものです。


ベジタリアンでピザを好んで食べていたというこの彼女。

(アメリカではピザは野菜ですらあります)

好物のピザ以外にも卵、乳製品、スナック類や砂糖も摂取していたはずです。

また、どれだけ栄養価値のある野菜を常食していたのかは未明記ですね。

このように、

ある種のベジタリアンの中には一般的な食生活からあからさまな肉だけを排除して食べ、

動物の酵素や体液を原材料につくられたようなものを

十分継続的に食べているのですから

体内の状況は肉食している方と大差ないのです。

この方が8年間続けてきたベジタリアン生活でどうして大人ニキビができたのか?

(翻訳される前の本人の写真ページです

https://www.womenshealthmag.com/food/a19984796/eating-meat-after-being-a-vegetarian/)

なぜニキビが大量にできた時、薬やクリームで治そうとして、

ジャンクな食生活を見直さなかったのでしょうか。

食品(特に乳製品や砂糖)と肌荒れに関する研究報告がこんなにもあるのに。


70%が動物性の脂質できており、血管を詰まらせる飽和脂肪酸、

人のホルモンバランスにも影響を与えるホルモン剤の成分を含む牛乳からつくられるチーズを

第一番に止めようとなぜ思わなかったのでしょうか。

翻訳される前の本人の写真ページをみて、この方のニキビは

乳製品をトリガーとする典型的な肌荒れだと私は思いました。

こんな肌の人本当にたくさんいますね。


ここドイツでもベジタリアン向けのメニューや製品の成分をよく見れば、

大抵は乳製品まみれ。

ベジタリアンでもチーズはokという人が非常に多いのが現状です。

それゆえ、こんな肌のベジタリアンは非常に多いです。

乳タンパク質の消化に由来するなど物質カソモルフィンは精神を安定させる麻薬のように効くので、チーズを辞めることなど考えられないのでしょう。

中毒性があるのでチーズを辞めることは肉を辞めることより難しいと言われています。


元記事の女性のニキビが治ったのは、

質の良い肉を食べた始めたからではないと私は思います。

そうではなくて、質の良いチキンを選んで食べる分

ベジタリアンジャンクフード(乳製品、糖質たっぷり)の摂取が控えられたからでしょう。

ピザを辞めた事に加えて、砂糖も辞めたと本人は記しています。

その重要な2つの変化がニキビを改善した大きなポイントではないでしょうか。


非常に気になった部分を1箇所抜粋しますが

>>勉強不足で始めたベジタリアンの暮らしの中で、健康に不可欠な成分であるアミノ酸が足りていなかったことは間違いない。

体が自ら生成できず、食事から補わなければならない必須アミノ酸には9種類ある。

開業医でスポーツ栄養士のブランドン・メントル医師によると、動物性タンパク質はこの9種類をカバーするけれど、植物や野菜といったよりシンプルな有機体は、必ずしも全種類カバーできるとは限らない。


と、あります。


必ずしも〜

とか

〜とは限らない、

こういうあやふやなことをいう専門家の言葉、しかも本人の発言でもない情報。

極め付けにその抄訳、翻訳版に惑わされないでください。


植物はシンプルな有機体ではありません、非常に複雑です。

例えば現代病院で処方される薬よりハーブの効能が緩やかで副作用が少ないのは

植物成分の威力が弱いからではありません。

植物に含まれるケミカルは、人工的に抽出して使うところだけに精製した成分にした化学物質より

複雑で、特定の症状に効果のあるものもも無いものも、阻害するものも、相乗効果のあるものも

混ざりあって存在しているので、

その中の特定の物質の及ぼす効果が直接的でないだけです。


それに食用可能な植物(野菜など)には

人間に必要な必須アミノ酸が全て含まれていることに加えて、

動物性食品には一切含まれない食物繊維(現代は消化管、血管の健康促進が認められている)、

動物性食品には一切含まれないファイトケミカルも多く含まれます。


信じられない方は

豆でも、人参でもすきなものを選んで検索し成分を自分の目で確かめてみてください。

soy(好きな食品名) amino acids profileで画像を検索したら大抵グラフが出てきます。

これはサンプルですが大豆に含まれるアミノ酸です。


ね、程度の差がありますが

人体に必要なアミノ酸が含まれます。

上のグラフで極端に低いトリプトファンを補いたければ、

例えばバナナでも食べ合わせると解決です。

一種の植物だけでは多かったり少なかったりするアミノ酸バランス。

この差を調整する事こそ、バランスよく食べるという事なのです。

植物性食品から効率よくタンパク質(アミノ酸)を得るには

豆類に多いアミノ酸、穀類に多いアミノ酸、

ナッツやタネ類に多いアミノ酸があることを理解する必要があります。

ごはんに納豆にゴマ、

穀物パンにピーナッツバターに豆乳、

グラノーラにチアシードにアーモンドミルク、

などカテゴリーの異なるタンパク質を含む植物性食品を組み合わせれば

アミノ酸バランスの問題はいとも簡単に解決できるのです。


人間の体に必要なアミノ酸バランスに近いから

という理由で

卵をはじめ動物性タンパク質を選ぶなら、

人の肉でも食べれば一番効率が良いですがそんな事、誰もしませんよね。

なぜか?

それは人の肉なんて食べなくても食品を組み合わせて取れば必須アミノ酸のバランスがよくなる事を

科学はもう知っているからです。

同じ絵を完成させるのに全色セットの色鉛筆を買うか、単品で色鉛筆を揃えるか

それくらいの違いです。(イメージ)

単品の色鉛筆には、動物性食品には含まれないおまけもついてきます。

アミノ酸バランスをよくすることは植物性食品の組み合わせでも十分可能です。




最後に、

自称ヴィーガンやベジタリアンでなくても

ジャンクフードや白い砂糖の菓子類を避け、酒、タバコ、便秘、運動不足、睡眠不足なし、

ビオの動物性食品を少量食し、良質な穀物や野菜を十分(平均的なベジタリアンをはるかに上回る量)摂る事で健康を維持している人々もいます。

何年もろくに野菜も食べないジャンクなベジタリアンを続行するぐらいだったら、

そのほうが体にいいだろうと私も確かに思うわけです。


ベジタリアンであろうと、ヴィーガンであろうと雑食であろうと

その中で健康を最適化する食事法を実施することはできます。


ご本人も自分は勉強不足だったと書いてありますが、

だった、のではなくこの元記事の女性は今なお勉強されない為にこんな発言を発信したのでしょう。

個人で情報収集を怠り健康を損なったからといって、

そのベジタリアンの食生活そのものを否定するような主張はよくありませんね。



参考

食品と肌荒れの関連性 エビデンス

本文

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