健康的菜食の始め方

動物性食品を食事に含むベジタリアンと、完全に菜食であるヴィーガンは食習慣として意識すべき点が大きく異なります。

本ページでは完全に菜食を行う事を前提に大切な事を書いておりますので一番下までお読みください^^

個人的な栄養相談を希望される場合は別途ご連絡ください。

”よし、これから完全に菜食にしよう!”

あなたにそう思わせる何かが今日突然起きたかもしれません。

でも焦らず、少しだけ時間をかけて準備されることをお勧めします。

突然、ヴィーガン(完全菜食)の生活へ移行する事は

英語が全然わからないまま突然英語圏に引っ越すようなサバイバルとなります。

継続的に、 健康的に完全菜食を目指すなら体(特に腸と微生物環境)を徐々に慣らす訓練が必要です。

今日からできるか否かの精神的な問題ではなく、

主に消化吸収、腸内環境の変化と微生物によって生産される酵素に関わる問題です。

完全菜食で必要なエネルギーや栄養を補うようになると、これまでの食生活で

炎症を起こしているかもしれない消化器官に

毎日食物繊維を含む食材を大量に送り込む状態になります。

グリーンスムージーを飲んでお腹を壊したり、キャベツなどアブラナ科の野菜を食べたらひどくガスが溜まるようなコンディション方、便秘薬を常用しても便秘気味の方などは

腸内の微生物環境を整えながら、完全菜食に移行する時期を見極める必要があります。

それはストレスなく健康的にヴィーガンな食生活を続ける鍵となります。

これまでの食事から単に動物性食品を差し引いた、引き算の食事でも

何年もなんともないとおおしゃる方も中にはいらっしゃいます。

栄養は体質によって内臓や骨に何年も貯蓄が可能なものあるのです。

場合によって、欠乏状態になるのに10年かかる栄養もあるのです。

ですが、そんな状態が恵まれているとは言いきれません。

慢性的な栄養不足により症状の出る頃には重篤な健康状態になっていることもあります。

後遺症を伴う神経障害を患う場合もあります。

完全菜食で不足しがちな栄養についてブログ記事にしておりますが、

しっかり確認したい場合はオンラインでもご相談を承ります。

完全な菜食を目指す方のご参考になりますよう、簡単な順番で下記の手順をご紹介したいと思います。  、

こちらのガイドラインもダウンロードしてお読みください。

ステップ1

牛乳を辞める。

(食生活編)

植物性の代用品が身近にあるものからまず排除します。
豆乳、ココナッツミルク、アーモンドミルク、豆乳ヨーグルトなど
その他いろいろな植物性ミルクで代用するとほどんど生活面で不便はありません。

(栄養の代用)

牛乳をよく飲んでいた方が牛乳(や乳製品)を辞めるということは今までの食生活におけるカルシウム源は無くなるという事です。現代では牛乳のカルシウム量と同じ量に作られているカルシウム強化豆乳があります。

乳製品より吸収率の良い植物性カルシウム源は他にたくさんありますので調べてみてください。

栄養源は必ず何かに置き換えなければ健康は維持できません。

ちなみに乳酸菌は同じような名前でも乳製品とは直接関係ありません。

乳酸菌は植物性の発酵食品からも得られ、食物繊維を多く摂る生活では腸内環境の改善が見込めます。


 

ステップ2 

お肉の中でまず辞めるべきは加工肉。

(食生活編)

加工肉は百害あって一利無し!
唯一のメリットである”美味しい”と思う感覚すら
これまでの食習慣によって形成されたものです。
あなたの食の好みはあなたの腸内に住む微生物の食の好みです。

あなたがハムやソーセージを食べる事で養っている腸内細菌(悪玉菌)の存在があります。
ハムやソーセージなどの加工肉を辞めたところで、

現在の交友関係に支障をきたしませんし
家族に余計な心配をかけることもないのでまず加工肉を食べるのをやめましょう。


(栄養の代用)

長年、体にいいと思って食べているものを辞める場合と異なり
加工食品のように誰もが体に悪いと気が付いているものを辞める事は
気持ちの整理がつきやすいものです。

人が加工肉から必ず摂らなければなければならない栄養はありません。

まずは3週間の加工肉断ちに挑戦してみましょう。
その期間中にきっと味覚が変わります。



ステップ3 

豆を食べる練習をしよう。

(食生活編)

お肉を辞めるにあたり、今後代わりのタンパク質源となる豆類を食べる練習をしましょう。
完全菜食に移行するとそれまでお肉や魚、卵、乳製品から摂っていたたんぱく質を豆、穀物、ナッツ、種、豆乳などから補うことになります。
すでに食べ慣れている豆腐や豆乳は消化に問題がないと思われますが日頃意識的に食べていなかった豆は膨満感なく消化できるようになるまで練習が必要です。

豆には食べ慣れていない人がなかなか消化できない類のある種の複雑な糖が含まれています。

しかしそれは、毎日少しずつ練習することで腸内細菌が消化を手伝う環境が整ってきます。

初めはフムスなど豆のペーストをつくってみるのも良いでしょう。

(実践方)

豆に慣れるには量より頻度です。

スプーン1杯でもいいので、なるべく毎日食べる、数種類食べるなどして体を慣らしましょう。

食べ慣れない豆は慣れるのにより時間を要します。
継続して購入しやすく、新たなレパートリーとして食生活に加えやすい豆から優先的に練習してみてください。


ステップ4 

鉄分意識で緑色の野菜を食べよう。

(食生活編)

お肉を辞める前に、代わりの鉄分源として緑色の野菜を意識的に食べる練習をしましょう。
完全菜食に移行するとそれまでレバーや赤みのお肉から摂っていた鉄分を緑黄色野菜(特に緑色の葉野菜!レタスじゃダメですよ。)や、豆、種、穀物から日々補うことになります。
植物由来の鉄分は非ヘム鉄であり、
動物由来の鉄分より吸収されにくいのは事実です。(それが悪いわけではありませんが)
つまり、吸収率を上げる為の食べ合わせには細心の注意が必要です。詳しくはこちらに記載します。

植物からの非ヘム鉄の吸収をよくする為、ビタミンCや有機酸を含むものを一緒に飲食するように意識しましょう。

(鉄のサプリの注意)

血液検査で鉄不足を診断されたわけでないのであれば

鉄のサプリは摂るべきではありません。絶対にやめてください。

鉄分は重要なミネラルですが、不足に備えてサプリを飲み

鉄を余分に貯めても体は鉄をほとんど排出できません。

鉄は抗酸化物質の反対の酸化物質(プロオキシダント)で体に必要以上に溜まりすぎると有害です。

他の栄養不足でも貧血様の症状は起きます。鉄不足の心配な方は自己判断でサプリを撮る前に必ず血液検査を!



ステップ5  

調味料を栄養源にしよう。

(食生活編)

1つずつでもいいので100パーセント天然のスパイスやハーブをキッチンに迎え入れましょう。

これまで使っていた化学調味料や固形のルーなどと本物のスパイスと徐々に入れ換ることができれば理想的です。
スパイスを使って料理を始めると組み合わせは果てしなく、レパートリーが一気に倍増します。

ネギや玉ねぎ、にんにく、生姜、レモンなど身近で新鮮な状態で手にはいるハーブも意外とあります。
スパイスによる味付けで塩や醤油を減らすと減塩にも繋がりますね。
いくつかのスパイスは抗酸化物質そのものでどんな食生活の方にもおすすめです。

乾燥バジル、パプリカ、パセリなどに含有される栄養素を確認してみてください。

サプリメントに負けないほどビタミンやミネラルを含んでいます^^


(マインドセット)


”これまで美味しいと思っていたのはお肉ではなくてお肉の味付けだった!”

これはお肉を辞めて気づく事の一つです。
照り焼きや唐揚げや餃子が美味しいのは実は味付けの問題で、中身を植物性たんぱく質に替えても全く問題ない、または人に気づかれないことさえよくあります。
燻製ような香りのスモークパプリカ、卵味を出す為の硫黄入りの塩(ミネラル)、
など、、、知れば知るほど発見があるのもスパイスの奥深いところです。



ステップ6 

ナッツ、種、全粒穀物を毎日摂る。

(食生活編)

主食の炭水化物として白米や精製された小麦粉でできたパスタやパンばかりでなく最低1日1回は全粒穀物、ナッツ、シード類を食べましょう。

雑穀や玄米、豆をご飯に混ぜたり、白いトーストをライ麦パンに変えたり、

市販のジャムをナッツのバターに変えたり、グラノーラやポリッジを食べる、

ランチをうどんからそばに変える、おやつをケーキからポップコーンに変える、キヌアやチアシードの入ったものを選ぶ、トッピングとして料理に種や砕いたナッツ、ゴマや亜麻仁(フラックスシード)をふりかけるなど手段は問いません。

グルテンフリーを実践中の方は、擬似穀類(蕎麦、アマランサス、キヌアなど)や専用の工場で加工されたオーツ麦(燕麦、オートミール)から同等の栄養を得られます。

玄米だけでは十分な栄養源にはなりにくいです。

様々な穀類、擬似穀類を取り入れることを推奨します。


(動物性たんぱく質の代用としての役割)

全粒穀物を1日何品目か食べることを習慣にしておくことは動物性食品を辞めるまでに行うべきタンパク質のアミノ酸バランスを整えるとても重要な訓練となります。
また製品によってはグラノーラにビタミンB12が添加されていることも多く、

ヴィーガンにとっては貴重なビタミンB12源とも言えます。


ステップ 7 

お肉、卵を辞めても

十分たんぱく質を摂る!

(食生活編)
ステップ1〜7までの練習を踏まえたら、お肉や卵を辞めてもその栄養を補う食習慣が整い始めています。

3週間お肉と卵を辞めてみて体調の変化を見てみましょう。
豆類や穀物、ナッツ、豆乳、比較的たんぱく質の多い野菜(例、ブロッコリー)などで十分な栄養を補うことを忘れずに!

植物性の食事における十分なタンパク質の取り方について

詳しくはブログに記載させていただきました。


ステップ8  

脂質の多いフルーツやナッツで上質な脂質を意識的に摂る。

(食生活編)


ステップ7までの工程を踏まえ、乳製品、肉、卵を食生活から排除した状態では
それらの中に含まれていた脂質を全てカットした食生活になっています。
この段階で脂質を補う作業を怠ればカッサカサお肌へまっしぐらですし、お腹いっぱい食べても
摂取するカロリーがとても低くなることに気がつくでしょう。
脂質の不足を補う為に、最高の状態の脂質を含む食品そのものを食べましょう。
できることならオリーブオイルよりオリーブを、サンフラワーオイルよりひまわりの種そのものを。
くるみ、アボカド、フラックスシード、ヘンプシード、ごまなどを意識的に食べましょう。


(注意すべきはオメガ3脂肪酸のみ)

フラックスシード(亜麻仁の種)種なら、挽いた新鮮な状態で毎日スプーン1杯、

オイルの状態なら必ず冷暗保管した酸化していない状態のオイルを毎日スプーン1杯摂る事をお勧めします。

ドイツではクルミのオイルも一般的なので私はクルミのオイル熱せずに利用することもあります。

これらの植物から得られるω-3脂肪酸(α-リノレン酸)は特にヴィーガンが注意すべき必須の栄養です。

ヒトは体内でα-リノレン酸を原料としてEPAやDHAを生産することができるので魚の脂の代用となります。

※この他、藻類から生産されたオイルも現在は普及しています。


ステップ9  

魚や乳製品全般を辞めてみる。

(食生活)

お魚や乳製品全てを辞めてみましょう。

ステップ8までに訓練した食習慣で、体内でDHAを合成する為の材料(オメガ3脂肪酸)やアミノバランスの良いたんぱく質など特定の栄養が不足する不安はなくなりましたね。

カルシウムは豆腐、強化豆乳、緑の葉野菜、種他ありとあらゆる植物性食品から得られるので問題ありません。

魚や乳製品はビタミンDの源でもあるので

夏は日光に十分あたり、体内でビタミンDを合成してください。天然のキクラゲやキノコが入手できる場合

良質なビタミンDの源です。工場育ちのスーパーのキノコはビタミンD源になりません。

紫外線の少ない冬期はヴィーガンか否かにかかわらずビタミンDのサプリは検討が必要です。

どうしてもサプリを控えたい場合は血液検査でビタミンDの不足がないか確認できます。

サプリの場合、地衣類(苔など)から作られたものがヴィーガン対応で市販されています。


(マインドセット)

魚は日本伝統の食材で完全に避けるのが難しい食品ですね。

チーズはその中毒性からなかなかやめられない食品の上位にランキングしています。

辞めるには葛藤の必要な品々ですが、今海はあまりにも汚れ過ぎており、漁やプラスチックゴミの蓄積によって生物多様性はますます失われています。

乳製品及びあらゆる食肉の製造や魚の漁を辞めることが環境に与える影響はとても大きいですよ^^




ステップ10  

完璧よりも持続可能な菜食ライフを。

(食生活)


動物性食品を排除したら、

このリストを埋めるイメージで1ヶ月完全な菜食を実践してみましょう。
食べられなくなった物よりも、食習慣に加える食品の数が多いことに驚きませんか?
トライ&エラーを繰り返し自分の健康維持にベストな食習慣を体で学びましょう。
ヴィーガンの健康維持に必要なのは食事や飲み物だけではありません。
筋肉を維持するための適度な運動、日光に当たる事(日の当たらない冬期はビタミンDのサプリ)、ビタミンB12のサプリメントは3年以上続けるヴィーガン及び、

吸収に問題の出てくる年齢=

50歳以上のすべての人には必須です!質の良い睡眠、リラックスも忘れずに!調子が良ければそのまま続けてください。


(マインドセット)

完全に菜食をするとなれば社会からとやかく言われる人生が待っているかもしれません。

批判に屈せず、批判する人を批判せず、相手に興味を持たせるような健康を手に入れましょう。

(食の意識の異なる方への食事のアドバイスは反感をかいやすいです。十分タイミングを考えて行いましょう。)

同じテーマでも相反する結果を示す研究は沢山あり、

新しいデータの発表もよくあります。新たな情報を受け入れつつ自分にベストな方法で続けましょう。





<上の表の日本語>     

   全部ではなく、右の選択肢から選べます。

   日本で実行可能なように少し調整して訳します。


□豆類        フムス(豆ペースト)なら1/4カップ 豆腐テンペなど豆加工品なら1/2カップ、豆なら1カップ

□ベリー類      生か冷凍ベリーなら1/2カップカップ、ドライフルーツとしてなら1/4カップ

□その他のフルーツ生 1個またはカットした状態で1カップ分、ドライ1/4カップ

□アブラナ科の野菜  生1カップまたは調理後1/2カップ、スプラウトでも1/2カップ

□その他の緑の葉野菜 生1カップか、調理後1/2カップ

□それ野菜以外の野菜 葉物生1カップ、葉物以外は調理後1/2カップ、ジュース状1/2カップ、乾燥機キノコなら4/1カップ


□フラックスシード  オイルじゃなくて種そのものか挽いた種大さじ1 

□ナッツ        ナッツとして1/4カップ、ナッツバター状では大さじ2

□スパイス      大さじ1/4のターメリック他、塩以外の乾燥ハーブやスパイスなど


□全粒穀物      全粒穀物のグラノーラ、シリアル、パスタ、パン、ベーグル、マフィン、コーンなど適量

           ※日本では珍しいものもあるのですが白米、精製小麦のパンばかりにならないよう注意を。


<その他>

□水分        1日 360mlx5回 (1日) 

※水分は体型性別年齢、気候によっても必要量が異なるので目安です。

□運動        

1日90分普通に活動的に過ごすか、40分集中的に運動する。