まだまだ深い、鉄分の話
こんにちは^0^
ドイツはそろそろホットワインの季節ですが
私はハイビスカスティーをホットワイン風な味付けにして雰囲気で酔うとします♬
ところで、
ヴィーガンの鉄分源としては豆類、ポピーシード他タネの類やキヌア、濃い緑の野菜などが良く知られていますね。
意外にもレーズン、アプリコット、デイツなどのドライフルーツ、
この酸っぱいハイビスカスティーにも鉄分は含まれ、日常生活に取り入れやすいです^^
鉄分は現代、(ヴィーガンか否かに関わらず)
全世界中で最も”不足”が指摘されているミネラルの一つで、
本人が症状を自覚できる程ではないにしても、
検査を受けた人の8割が鉄分不足、また3割が貧血と診断されるようです。
鉄は生体にとって必須の元素であり、食事で鉄分を欠く時期が続くと、
血液中のヘモグロビン量(鉄タンパク質)や筋肉中のミグロビン量(鉄タンパク質)が低下し
貧血や頭痛、倦怠感、記憶力低下など様々な症状を引き起こします。
スーパーでパック入りのお肉を見たら、血が流れ出ているような状態の商品がありますが
あれは、肉の血管から出た血液のヘモグロビンの赤色ではなく、
筋肉中のミグロビンの赤色が水と共に出てきたものなんですね。
鉄(や鉄タンパク質)は私たちの体のいたるところに存在し、絶えず酸素を届けているのです。
貧血と言えば、血が足りなくてフラフラする事をイメージしてしまいがちですが、
鉄には酸素を運搬する役割があるので、不足することで全身に必要な酸素が届けられずに
フラフラしたり、疲れやすくなったりするのです。
さて、全世界で相次ぐ鉄不足ですが、
ベジタリアンやヴィーガンにも貧血の方は多いようです。
それは動物性のヘム鉄よりも植物性の非ヘム鉄の吸収がそもそも難しこと、
そして、本人が非ヘム鉄の特徴を知らずにいつまでも対処しない事が問題だと思います。
私のように完全菜食者の場合、
鉄分は植物に含まれるものから得るので、全て非ヘム鉄ということになります。
腸で吸収される鉄はヘム鉄のように二価のイオンのみであり、非ヘム鉄である3価の鉄イオンは
2価に還元されてから吸収されます。
といっても分かりにくいので私は、個人的にゆで卵をイメージするのですが、
動物性の食物起源鉄は殻をむいたゆで卵、
植物性の食物起源鉄鉄は殻付きのゆで卵のようなものだと思ってもらうと
どちらが吸収されやすいか、多少イメージしやすいかと思います。
菜食者の得ている鉄分は吸収率の低い植物性の殻付きの非ヘム鉄ですから、(イメージ)
食べ合わせやタイミングを工夫して吸収率を上げると良いという事になります。
ここでの工夫とは、大きく分けて2つの方法があります。
(1)鉄分の吸収阻害要因を理解し、それを避ける方法
(2)鉄分の吸収促進要因を理解し、それを取り入れる方法
です。
ではどうすれば良いのか、
私の受けているヴィーガンの栄養に特化した栄養のコースの教材の中で、
鉄分の吸収にとても役に立つグラフィックを見つけたのでご紹介したいと思います。
(1)鉄分の吸収阻害要因には※上の図の左枠内の方です。
フィチン酸、シュウ酸、ポリフェノール類、タンニン、
食物繊維、カルシウム、鉄の他の二価イオンをもつカチオンの高摂取、
大豆プロテイン、特定の医薬品が挙げられております。
(2)鉄分の吸収促進要因には※上の図の右枠内の方です。
ビタミンC、有機酸(例えばクエン酸、酒石酸、乳酸)、発酵食品(例えば味噌やテンペ)、
鉄含有量の低い食品が挙げられております。
興味深いですね、この表ではなく教科書の続きに書いてありますが、
食物中の鉄分含有量が低いと生理的に吸収能力が補償されるのだそうです。(驚)
その他にもシステインやメチオニンなどの含硫アミノ酸も鉄分の吸収に役立つようです。
(必須アミノ酸ですね、システインは例えばオートミール、メチオニンは穀物に多いですね)
さて、動物性の食物起源の鉄は、その吸収率の良さが利点のように聞こえますが、
人体にとっては致死的なデメリットにも成り得ます。
鉄を過剰に摂取し、排泄できないと鉄過剰症になり、
それは肝臓、膵臓、皮膚に貯蔵鉄が沈着するヘモクロマトーシスをはじめ、
肝炎、肝硬変、肝臓がん、膵臓関連では糖尿病(1型)、膵臓癌、
心不全、関節炎などの発症との関連が指摘されております。
私たちが普段から気をつけて、なるべく摂るようにしているものに、
”抗酸化物質”がありますが、
鉄分はその反対のpro-oxidant、”酸化促進物質”でもあるという事を忘れてはなりません。
一方、植物由来の非ヘム鉄の方も神秘的です。
上の、鉄吸収阻害物質を見てお分かりのとおり、
鉄分を多く含む”植物”には、同時に鉄吸収阻害物質が含まれていますね。
ほうれん草、葉菜類にはシュウ酸、大豆には大豆タンパク、穀物や豆類にはフィチン酸など!
そういう事で大抵、過剰摂取の心配はいらないでしょうが、
天然の酸っぱいものと合わせて食べ、吸収率を上げるしかないですね。
(例 ビタミンCの同時摂取により、非ヘム鉄の吸収は3〜4倍に増加)
※最後に、
鉄のサプリメントは、血液検査で鉄不足を確認する前になんとなく摂取するのは危険です。
鉄のサプリメントは鉄不足の予防には適しません。
サプリメントは吸収されやすいように作られていますので、
鉄分が足りている場合、むしろ過剰摂取になる恐れがあります。
病院で正式に処方されてから、期間を意識して利用する事をおすすめします。
鉄は諸刃の剣です。
鉄はヘム鉄で15〜35%、非ヘム鉄で2〜20%のバイオアベイラビリティ(生物学的に利用能な量)
と言われており、100g中10mgの鉄分表示のある食物を食しても
その内のわずか数%しか体内での利用は可能となりませんが、
遺伝的に、食物から鉄を吸収しやすい珍しい体質の人もいますので注意が必要です。
参考
http://care.diabetesjournals.org/content/30/7/1926
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