完全菜食で気をつけるべき栄養 その2 ビタミンD


私が栄養を勉強しているドイツでは太陽のビタミンと呼ばれるビタミンD。

そのホルモンのような物質は私達の身体でさまざまな重要な機能を担っています。

ビタミンDはカルシウムとリン酸のバランスの恒常性を保ったり、 

また腸でのカルシウムの吸収を促進し、骨形成を調節しています。

 

完全菜食の食生活においては残念ながらビタミンDの必要性を十分に満たすことはできません。

栄養成分表を見て、食用のキノコや植物性ミルクにわずかなビタミンDが含まれること、 

きくらげには結構なビタミンDが含まれることに気がつかれたかもしれませんね。

ですが外で紫外線に当たるような環境下で育ったキノコは、現在一般的なスーパーマーケットでは入手できないのです。


ヴィーガンにとって主要なビタミンD源は太陽のUV-B放射による刺激でおこる皮膚上での合成です。 日焼け止めを使用せず、腕と脚を日光にさらすのであれば、

ここドイツのような北国でも10〜20分の日光曝露で十分です。


しかし、冬の間の太陽の力は肌の合成を刺激するには不十分であるため、中央ヨーロッパでは日光浴でビタミンDが得られる期間は3月から10月の間と言われています。

日本ではもう少し日が当たるかもしれませんね。

そこで冬、暗い時期の長引くドイツではビタミンDのサプリメントが推奨されています。

乳製品を取らない人々も冬の間はビタミンDのサプリを利用することが多いです。


ビーガン向けのサプリメントは、地衣類、藻類とキノコなどから作られています。 


動物の他にキノコや地衣類(コケ)、藻類も光に当たってビタミンDを合成できるからです。

サプリメントを摂取するかどうか判断するにあたりできれば血液検査を受けた方が良いでしょう。 

ビタミンDは水溶性ビタミンではないので

ビタミンCなどのように不必要な分を尿として排出されず

摂りすぎると肝臓に貯蓄されていきます。

過剰摂取になるとカルシウムの吸収が高くなりすぎ、カルシウムの過剰摂取によって起こる障害を引き起こしかねません。

 (日光を利用して合成できるビタミンDは種類が異なり過剰摂取は起こりません)


一方ビタミンDが欠乏すると腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下し、カルシウムが不足して低カルシウム血症となり、骨の軟化、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症になると考えられます。


ビタミンDはカルシウムの吸収を高める役割がそれほど大きく、

ビタミンDもカルシウムも不足しがちなビーガンにとって特に注意の必要なものです。

乳製品などを日常的に摂取する”ベジタリアン”の場合は

乳製品からビタミンDを十分容易に摂取可能です。 

ですが、ビーガンが代替品の植物性ミルクから十分なビタミンDを得るには1日の必要量を満たすのに3Lも飲まなければならない計算となり非現実的です。 


紫外線により人がビタミンDを合成できない環境では

毎日のサプリメントからの必要量としてドイツでは20㎍/日が推奨されています。 

日本ではビタミンDの必要量は18歳以上の男女ともに5.5㎍となっています。


単位は ㎍=マイクログラム です。ミリグラムではありません、ご注意ください。

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