完全菜食で気をつけるべき栄養 その3 亜鉛

完全菜食で気をつけるべき栄養シリーズはまだまだ続きます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今日はヴィーガンの食生活において、気をつけておかなければ欠乏しやすい

ミネラルについて少し触れたいと思います。

鉄分につづいて亜鉛ですね。

亜鉛は新陳代謝や成長の促進、酸化を抑えたり、インスリンの合成などに関与する

非常に大切な働きをしており、そのほかにも体内で多くの酵素の構成要素になったり、

活性化に関わっております。

亜鉛の欠乏は発育不良、不妊などにも関わり

身近なものでは爪が変形したり肌荒れ、抜け毛などからも亜鉛不足を実感できるでしょう。


亜鉛といえば、

一般的な雑食の食生活においては鉄分の摂取源と同じように

牡蠣や牛肉、レバー等からよく摂取できます。

つまり、今までの食事から単に動物性食品を排除しただけでは

簡単に欠乏してしまう栄養素ですね。

牛肉やレバーを食べないヴィーガンの食生活では

どんな植物性食品に亜鉛が含まれるか想像がつきますでしょうか?


私が栄養を学んだドイツの学校の教材で推奨されている

亜鉛の比較的豊富な植物性食品には下記のような食品があります。


各種100gあたりの亜鉛量が比較的多い順に

スピルリナ 10mg

ゴマ 7,8mg

ニュートリショナルイースト 7,4mg

かぼちゃの種 7,0mg

ひまわりの種 5,8mg

ピーカンナッツ 5,3mg

オートミールのフレーク 4,1mg

ブラジルナッツ 4,0mg

粟 2,9mg

玄米 1,5mg

ちなみに亜鉛の推奨摂取量 日本では男性9〜10mg、女性8mgです。

(男性の場合、射精の度に約0,5mgの亜鉛を失うため推奨摂取量には男女差があります)

このリストは単に亜鉛含量の多い食品のリストですが、

ブラジルナッツの場合そんなに食べると

その他の成分で中毒を起こす可能性があるので1日1個をおすすめします。


スピルリナやゴマは現実的にはスプーン1杯食べる程度ですね。

含有量が少ないように見えても日本の食卓では粟などの雑穀の入った玄米、

オートミールを食事に導入することは継続的な摂取につなげやすいかと思います。

メイン写真のようなかぼちゃの種は

粒が大きいので何かに混ぜるなどしてちょこちょこ食べることで亜鉛を積極的に摂取できます。

私はヴィーガンとして亜鉛の摂取量を日常的に気にしており

外でパンを買う時はかぼちゃの種の付いたものを積極的に選んでいます。


つまめるサイズのナッツ類は手の届くところに置いておくと

気が付いた時にミネラルを補給できますね。

ひまわりの種は粒が小さいですが、水、レモン汁、ニュートリショナルイースと一緒によくブレンダーで撹拌してスパイスで味を整えればチーズのディップのようになり食べやすいです。

こってりクリーム系のパスタのソースとしても使えます。

ゴマもペースト状になるまで撹拌してタヒニにしておけば

ゴマだれのように各種料理に使用して効率良く消費できます。

亜鉛の摂取源な食品は私のキッチンにはどれも常備してある必需品です。

さて、

鉄分の場合と同様に亜鉛にも吸収を阻害する食の組み合わせあります!

紅茶、緑茶、コーヒーに含まれるタンニン、

全粒穀物、マメ科の植物、ナッツに含まれるフィチン酸などは

亜鉛の吸収速度も低下させます。

ナッツやマメ科植物の場合水につけて柔らかくしておけば

フィチン酸の含有量を21%も減らすことができるという報告があります。

そして柑橘系果物からのクエン酸と一緒に摂取すれば亜鉛の吸収率を上げることが可能です。


そこでですが、

ヴィーガンな食生活でも亜鉛を含む食材はあるのに

なぜ、私たちは阻害物質を考慮したり吸収率を上げることを良く考えるべきなのでしょう?

その理由は、

亜鉛というミネラルを人が吸収して体内で利用可能にできるのは

食べたうちの30%程度だからです。


吸収率、低いですよね...!

必要摂取量が7mgだからといって、

上のリストの食材からきっちり7mg分になるように食品を選んで食べても

それだけでは不十分だと思っておいたほうが無難でしょう。

(実際には個人差がありますが)


まとめ

必須微量元素、亜鉛はバイオアベイラビリティ(利用可能な割合)が限られているため、

ビーガンにとって注意を要する栄養素と考えられています。

不適切な摂取を避けるために、穀物の発芽、マメ科植物は水につけてフィチン酸を減らす

(豆は水につけて柔らかくしただけの生状態では絶対に食べないでください中毒性有り)、

発酵させるなど吸収を促進する準備を行うと良いでしょう。 

クエン酸などの吸収促進物質によって腸管からの吸収率が上がります。

工夫して、摂取量をカバーしましょう^^














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