菜食でも痛風や尿酸値に問題がおこる理由

こんにちは、

ヴィーガン栄養士の講座の中で勉強したトピックに

ご家庭で役立ちそうな話があったので、久しぶりに記事にします^^

暴飲暴食の翌日など、お父さんが痛い痛いと言ってはいないでしょうか。

”痛風”ですね。

※痛風とは尿酸が体内で析出して結晶ができることにより、関節炎などを来たす疾患。


上の画像はお父さん方の関節の痛みの元となっている尿酸結晶です。

トゲトゲしていて見るからに痛そうですね。


そこで、少しでも健康的な食生活に移行しようと

ベジタリアン(ヴィーガンほど完全菜食でない)寄りの食生活に切り替えても

改善が見込めず困っておられる方もいらっしゃる事でしょう。


この記事では痛風が起こるプロセスについて、

そして食を通じて行える対処法についてご紹介したいと思います。


★★★まず、なぜ人は痛風になるのでしょうか★★★

前提として、プリン体というもの代謝が関わっています。

プリン体は遺伝物質の基本的な構成要素で、人間や動物、植物の細胞に存在するものです。

プリン体は人体で生合成もされますし、外から取り込まれることもあります。

植物や動物の有機体から、食事を介して遺伝物質を得ることで外から取り込まれるわけですが、

問題の多くは取り込まれる量に対して、排出量が追いつかないことに由来します。

プリン体を含む動植物を食べると、体がそれらを分解しなければなりません。

人の場合、その代謝の過程で最終的に尿酸が生成され、

腎臓が健康に機能している限り尿酸は排尿により排出されるので問題にはなりません。


しかし、健康状態によっていは腎臓が大量の尿酸の排除に追いつかない場合があります。

この時、過剰な量の尿酸は最初に血液に蓄積しその後結晶化して組織構造(特に関節)に沈着し、

炎症反応を引き起こし、いわゆる痛風となる可能性があるのです。

(よく検査で尿酸値が高かったなどと話している様子を耳にしますが、それはこの

尿酸が血液に蓄積している段階です)


 過剰な尿酸は腎機能に悪影響を及ぼし、尿結石を引き起こす可能性があり、

そのような結晶は体の該当する箇所が平常よりもわずかに酸性に傾いた環境で優先的に形成されます。

血液であれば通常のPH7,4よりも酸性に傾いた状態(アシドーシス)で結晶化が始まります。


★★★順を追って簡単にまとめると★★★

・痛風は血液中の”過剰蓄積した尿酸”がアシドーシスなどにより析出(変化)して結晶化し

関節炎などを起こして痛みのある状態です。

”尿酸の過剰蓄積”とは

尿酸=プリン体を含む動植物を食し、代謝した際の最終生産物であることから

それらを含む食品を控えることで減らす事ができます。

プリン体を含む食べ物とは例えばこれらの食品ですが、

※注目すべきはこのような食品リストのうち、穀物、豆や野菜に含まれるプリン体は尿酸値の上昇に関連がないという研究報告です。



血中に蓄積した尿酸結晶となる原因は

アシドーシス(体の該当箇所が通常より酸性に傾いた状態)です。


痛風患者においてアシドーシスを起こす原因と高く結びつくものは

フルクトース(果糖)の摂取です。

フルクトースは糖のうち最も水に溶けやすく摂取しやすい事が原因と言われています。

※こちらも注目すべきはフルクトースを含む野菜や果物もまたプリン体は尿酸値の上昇に

関連がないという研究があり、まず避けるべきはフルクトースを含むドリンク、

エネルギー飲料、清涼飲料水、お酒、ジュースなどです


さらに言えばアシドーシスの一般的な原因は糖分摂取の他に

動物性たんぱく質の摂取や喫煙も含まれます。


★★★要は、痛風の再発を防ぐには★★★

プリンが豊富な食品のうち避けるべき食品を把握する必要があります

 •肉およびソーセージなどの加工品、肉製品、

 •特に動物の内臓 、

•魚介類 (特にかつおぶしや煮干しなど、意外なものがプリン体高し!)

•アルコールとフルクトースを含むドリンク類は高尿酸血症と痛風の促進につながるので

極力控えることをお勧めします。

<重要>

マメ科の植物はプリン体の含有量が多いにもかかわらず尿酸値増加と相関がありません。

つまり、動物性たんぱく質を食べない場合豆や穀物からのたんぱく質摂取は

生命活動に必要なたんぱく質を得る上で重要な鍵となります。


お肉を日常的にほとんど食べないベジタリアン生活寄りのお父さんが痛風なのは

カツオの味噌汁を食べたり、ビールで晩酌したり、

肉をの代用にお魚料理を好む事が原因ではないでしょうか。

もしも、完全菜食の食生活をしているにもかかわらず痛風があるとすれば

体を酸性に傾ける食品、糖分、白米、麺など単純な炭水化物過多で

体をアルカリ性に寄せる野菜や果物をほとんど食べない食生活、

または、とにかくお酒やタバコを好む事が原因ではないかと予想できます。


ちなみに、夫婦で同じような食生活でも女性が痛風にならないのは

女性ホルモンのエストロゲンが尿酸排出に関連していることに由来しているようです。

痛風患者うち実に98%は男性であると言われています。


痛風は不治の病ではないにもかかわらず、

必ず再発し、繰り返し痛むものと言われる所以は

痛風の原因(娯楽)を断つ事が難しすぎて不可能と考えられているからです。

お酒もタバコも辞める気のない

痛風のお父さんの為に家族ができる事は、、、まずは

出汁は昆布やしいたけにする、

食事のメインやおつまみはできれば野菜でつくる、

ジュースは買わずにお茶を作って冷蔵庫に入れておく。

などではないでしょうか。

注意点を踏まえて食事を改善したり禁酒をすることが可能であれば

痛風の痛みとは一生おさらばできるかもしれません♪



追記 尿酸値を改善する野菜!

未加工の野菜や果物はどれも全部尿酸値改善に良いですが、

それら全てが均等に効果をもたらすわけではなく、特定のお野菜は特に効果が高いです。

週に何回か主食を穀物にする代わりに茹でたじゃがいもにするのもおすすめです。

じゃがいもはアミノ酸バランス(タンパク質の質)も良く、エネルギー源(炭水化物)としても優れ、お腹にたまり、体にはアルカリ性に効きます^^

じゃがいもはフライドポテトやポテトチップスのイメージから不健康な印象が先行します

有機無農薬のじゃがいもを、茹でて、冷ましただけの状態であれば

レジスタントスターチ(血糖をコントロールし、食物繊維ではないのに水溶性食物繊維と同じ効果が腸内の有用菌にもたらす)としても役立つ食品です。

最後に尿酸値改善に役立つお野菜を少々表でご紹介します。

右の数字のマイナス数値が高いほど尿酸値改善に役立つ野菜となっています。

(食品のPRAL= 腎性酸負荷 を表す数字です)。

もちろん動物性食品は全て+となっており、魚やチーズなどは特に腎性酸負荷が非常に高いです。

こういう情報は日本ではあまり利用されないのか、日本語の表がみつかりませんが

PRALと食品名を加えて英語かドイツ語で検索すると

いろんな食品が体にアルカリ性の影響を与えるか、

酸性の影響を与えるかを確かめる事が可能です。







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減量、病気の予防、バランスのとれた健康的な食生活、またはこれから菜食を目指す皆さんをドイツで職業訓練を受けた栄養士がサポートします。 特定の食事法を批判したりこちらから強制することはありませんのでご安心ください。 じっくりお話を聞き、ご希望の結果に近づけるようお手伝いさせていただきます。 ベルリンでの栄養と菜食料理に関するワーショップは現在木曜日、土曜日に承っております。