摂ってるつもりの食物繊維

当ブログにご訪問いただいた皆さんはベジタリアンやヴィーガンの方も多いでしょうから

比較的、食物繊維を摂っておられるのではないかと思います。

ですが、私自身も家族で唯一のヴィーガンですし

一家揃って野菜をたっぷり食べる家庭というのは稀でしょうから

一般に不足しがちな”食物繊維”について書かせていただきます。


現在、私たちの周りは

肉!魚!卵!乳製品といった食物繊維ゼロの食品

白いパン、白いごはんなど精製されて食物繊維を概ね排除された食品で溢れています。

給食でも社食でもカフェでもレストランでも大抵はそのようなものが出されますから、

個人で注意して食物繊維を摂取しなければ、1日の推奨摂取量食は満たせなくなってきています。


食物繊維の摂取を何年も継続的に怠ると....

便秘気味、ぐらいでは済まされない事態に発展しかねません。

食生活の欧米化に伴い

食物繊維不足が原因で大腸に穴ができるという疾患がかなり多くなってきているのを

皆さんご存知でしょうか。

(私は医師ではないので、自分で栄養を学ぶ中で理解した事を述べますが)

それは憩室というもので、大腸の腸管内壁の一部が袋状に腸壁外に突出したものです。

憩室とは、持っていても症状が出ず多くの人は気がつかないものですが、

15%程度の人は穿孔、膿瘍、狭窄、出血、憩室炎を起こすと言われています。

私の身内(日本)にも大腸憩室炎で大腸の一部を切除した者、

それから切除する程ひどくはないものの時々憩室炎を起こして入院が必要になる者がいます。

皆さんのご家族にも憩室のある方がいらっしゃるかもしれませんね。


日本でも憩室をもつ人はどんどん増加していますが、

欧米では既に中年の成人の半分くらいにこの憩室がみられるようです。

憩室は、食物繊維の少ない食事を小腸で消化吸収した後に大腸の蠕動運動を促すほどの繊維が残らず

ほぼ液状の消化物となった便を腹圧を利用して動かそうとする為、細い大腸の中の腹圧が上がる事で

内壁の薄い箇所が風船のように膨らみ、外に向けて飛び出す事で発症するようです。

食物繊維をしっかり摂り、大腸まで到達する便の量を増やした上で正常に蠕動運動を起こし、

それによってスムーズな排便を促せば憩室の形成を防ぐことができます。

できてしまった憩室(ポケット状のくぼみ)は元どおりには治らないにしても

炎症(出血)が再発しないよう予防できるのです。

ついでに便秘や痔も予防できるでしょう。


<食物繊維の摂取量>

2019年現在私が栄養を勉強しているドイツの教材では、

食物繊維の摂取量は成人1日30gと推奨されていますが

日本のガイドラインによると成人男性で20g以上、女性で18g以上推奨とあります。

現在かなりの差がみられますので、近々推奨摂取量は改善されるかもしれませんね。


<とっているつもりの食物繊維>

さて、

”食物繊維は摂っていますか?”

と相談者の方に尋ねると

”はい。摂っています。昨日もきんぴらごぼうを食べました。”

というような発言を非常によく耳にします。

ですが、食物繊維を多く含む野菜として象徴的なごぼうでさえ

100gあたりに含まれる食物繊維はわずか3,3gなのです。


朝ごはんを例に挙げれば

きんぴらごぼう、白ご飯一膳、卵、焼き魚のような食事では

白ご飯から0.5g、ごぼうから3,3gの合計3,8gしか食物繊維は摂れません。

コーヒーと、白い食パン(4枚切り)にチーズやハムなどの食事ならどうでしょう。

パンに含まれるわずか2g程度の食物繊維しか摂れません。

悲報ですね(˙-˙ )


ですので

野菜をもりもり食べるのが苦手な方は食物繊維を摂取する為に

タネやナッツ、ドライフルーツ、豆を毎日取り入れてみてください。

大豆などは100gあたり9gの食物繊維を含んでいます。

白ご飯でも小豆等を混ぜて豆ご飯にするとかなりの食物繊維を補えます。

豆は小さいながらも水分が9割以上を占める大抵の野菜と比較して、

非常に効率の良い食物繊維源です。

食事にゴマやフラックスシードを振りかけて食べるのも簡単ですね。

水煮の豆はフムスにしておけば一般的なトーストに塗って効率よく食物繊維を補う事ができます。

全粒穀物のパンが身近に売ってなくても豆なら簡単に取り入れる事ができますね。


このようなフムスは市販の豆の水煮缶を利用でき

冷凍&解凍もしやすく便利です。

写真をクリックするとレシピの投稿先へ飛びます。


追記

よく、水溶性食物繊維は血管のお掃除に、不溶性食物繊維は腸のお掃除に

などと言われていますがホールフード(精製していない食品)から食物繊維を得る場合

どちらも必要な分補えますので比率を気にする必要はありません。



参考

大腸の憩室について語るプラントベースフードのドクターの話の例(英語)

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